石川県のブロッコリー農家「安井ファーム @yasuifarm」に学ぶTwitter活用

Twitterビジネス
アイデアのヒント
中小企業向け活用事例: 安井ファームのインタビュー

ビジネスのご紹介

- 貴社のビジネスについて教えてください

石川県白山市を拠点とし、主にブロッコリーとコメを生産する農業法人です。主力商品のブロッコリーは年間約200万株を出荷しており、栽培面積ベースでは石川県産の約3割に相当するブロッコリーを栽培しています。

企業理念は「農業を通じて働く人の幸せと お客様の幸せを願い、実現すること」。2019年より、事実上の国際基準となるGLOBAL G.A.P.認証を再取得し、ブロッコリーを安全に生産・出荷するための仕組みを整えています。

 

- マーケティングの取り組みはどのようなものですか

できるだけ多くの方に農産物を届けられるよう「量」に重きを置いて販売することを基本としています。量を捌くため、企業間取引を主体としておりますが、消費者からはどうしても遠くなってしまうため、2019年より生産者の顔が見えるように会社敷地内に直売所を設置し、自社の野菜の魅力をお伝えしたり、旬の野菜の食べ方を提案するなど、消費者の方とつながる取り組みも積極的に展開しております。

 

安井ファームのTwitter活用

- Twitterの立ち位置、運用の目的は何ですか

Twitterは消費者の方々とつながるためのツールと捉え、会社の知名度向上と、ブロッコリーの消費拡大を目的としています。

弊社は、「全国展開していない」「企業間取引が主体」「中小零細企業である」という広報分野における三重苦を抱えています。既存の販路では弊社の名前が表に出ることはなく「石川県産ブロッコリー」として消費者の元に届きます。今後会社が発展していく上で知名度の低さがネックになることのないよう、Twitterを活用することでこれを補いたいと考えました。

会社の知名度は影響力が大きくなれば自ずとついてくるのではと考え、ブロッコリーの消費拡大をミッションとして社会貢献的な運用スタイルをとっています。

 

- Twitterの中の人はどんな方ですか

広報業務を担当する社員です。広報課が野菜の選別・出荷業務を行う部署にあり、メイン業務のスキマ時間に広報業務を行っています。

元々は体力自慢の農作業員でしたが、体調を崩し畑仕事が難しくなりました。それでも会社のために何かできることはないかと考え、今は広報担当として会社の情報発信をしています。

 
- 日頃のツイートで工夫されていることはありますか

広告っぽくならないように、言い回しは気をつけています。「〜すべき」や「〜してください」などは避けて提案するスタンスをとっています。

あとは初見の方が引いてしまわないように、ある程度の距離感を保ったやりとりを心がけています。運用開始当初はかなりカジュアルなやりとりもしていましたが、世の中が安井ファームのアカウントに求めていることは何か、というのを考えていくうちに今の形になりました。

Twitter運用に関してはあくまで仕事ですから、限られた時間内でツイートするようにしています。やろうと思えばどこまでもできてしまうのがTwitterですからね。際限なくやっていた時期もありましたが、今は切り替えて、Twitterばかり見ないようにしています。

 

- Twitterを運用する上で転機となった出来事はありますか

同級生と再会したことです。温泉旅行に行ったときに#旅館あるある をツイートしたところ、地元の温泉旅館の滝亭さんで当時Twitterを運用していた同級生に見つかり、それがきっかけで再会しました。そこから一緒にキャンペーンも実施しました。

毎月26日は風呂の日ですが、ブロッコリーの日とも解釈できるので、かつてはよく戦っていました。

 

「農家にとっての当たり前は一般消費者にとっての当たり前じゃないから」と言われたのをきっかけに、自分たちにとっての当たり前を発信していこうと思い立ちました

ツイートの方向性に悩んでいた時に反響をいただいた「野菜の価格の決まり方」

- 単一商材だと運用が難しいという声も多々あります。ツイートするネタに困ったりはしないですか

Twitterの運用は2019年2月から本腰を入れたのですが、最初の1年は企業アカウントとの交流をメインにやっていました。そうすると次第にタイムラインが他社のキャンペーン紹介や、身内向けの内容になることが増えていき、さらに交流のあるアカウントの中の人が退職などで卒業していき…ということを経験したときは、何をツイートしたらよいかわからなくなった時期もありました。

そんな中、意図せず野菜の価格についてのツイートで反響をいただき、さらに取引先の方から「農家にとっての当たり前は一般消費者にとっての当たり前じゃないから」と言われたのをきっかけに、自分たちにとっての当たり前を発信していこうと思い立ちました。

図書館に行って過去3ヶ月分の新聞をすべて読み、農業がどういう切り取られ方をしているかを調べました。Twitterは多くの人に使われていますが、あくまで一部の視点でしかありません。もっと俯瞰して、世の中で農業がどう捉えられているかを探った結果、レシピやお役立ち情報が重宝されることを感覚的に理解しました。

そこからは、反響がありそうだなと思ったネタを20個ほどツイート。たくさん反響をいただけたツイートもありました。こういったことをきっかけに世の中のためにブロッコリー農家としてできることを考えるようになり、今に至ります。

自分たちの当たり前をツイートに

ナイスブロッコリーの見分け方

ブロッコリーの皮のむき方

ブロッコリーの保存方法

 
- フォロワーさんやツイートを見ている方とのコミュニケーションで工夫していることはありますか

ブロッコリーを絡めたコンテンツをGIFアニメーションなど使って作成し、楽しんでブロッコリーに触れる機会を増やしてもらえるようにしています。

ブロッコリーとあっち向いてほい

ラッキーブロッコリーアイテム占い

 

最初はまずは挨拶から始めようと思い色々試してみました。フォロワー数も今より少なかった頃は、ツイートへの反応はほとんどありませんでしたが、「〇〇の日」をからめてやってみようと試しにツイートしてみたところ反応が多く、今では毎日のツイートとして定着しています。

長く続いた今となってはリズム作りの意味合いが大きいです。例えば「学校行きたくないな」とか「会社行きたくないな」という日でも、安井ファームのいつもの挨拶ツイートを見て、世の中はいつもどおり時間が流れているのだということをフォロワーさんやツイートを目にした方に思い出してもらえたら、という思いでツイートしています。

定番になった挨拶ツイート

- ビジネスの発信にTwitterを使っていてよかったと実感したことや、始めてからの新たな発見などありましたらお聞かせください。

全く想定していなかった、何が起こるかわからない魅力をTwitterに感じています。前述の同級生との再会もそうですし、あとはTwitterで「ブロッコリーのおいしい食べ方教えてください」と言われたのがきっかけで料理を始めたこと。そしてその延長線上で作った最初の揚げ物料理が「めんつゆつけ揚げ」のレシピで、これに対する反響が非常に大きく、レシピ本発売にまで発展したことです。

めんつゆつけあげのツイートが取り上げられた後に出版社からお声がけがありレシピ本を出版することに

また、Twitterをやっているうちに培った映像制作の技術が意外に役に立っています。企業140社が集まって合同でTwitterの誕生日を祝おうという企画では、事務局メンバーとしてお声がけいただきましたし、他の合同企画でも、GIFアニメーションの制作を担当することがよくあります。

- 参考にされているアカウントはありますか

チャンピオンカレーさんは、実施されているセミナーに参加したり、どんなツイートしているのか参考にさせていただいたりしました。実は前述の同級生は今はチャンカレの中の人の1人で、ここでもコラボキャンペーンを一緒にやりました。

- 他の企業に1つだけTwitter運用に関するアドバイスができるとしたら

私が煮詰まったときに救われた言葉「業界の当たり前は見る側の当たり前ではない」をそのまま伝えたいです。何をツイートしていいかわからない方はそこからツイートを始めてみるといいと思います。

反響を得ることにこだわるのではなく、あくまでもどういう企業イメージをもってもらいたいかを考えて情報発信することが大事です。そんな中で、化学反応が起きるときは必然的に起きるものなので。

あとはすでに持っているスキルやコミュニケーションの仕方など、得意なところを伸ばすということでしょうか。いろんな企業アカウントを見て、ノウハウを参考にやってみるとよいと思いますが、全部をマネすることはできないので、最終的には得意分野を軸に、自分のスタイルを見つけていくのがよいと思います。

 

- ありがとうございました

 

 

チャンカレx安井ファーム × J-CASTトレンドコラボキャンペーン

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