岐阜のメガネ店「Eyewear shop ami @neku07」に学ぶTwitter活用

Twitterビジネス
アイデアのヒント
中小企業向け活用事例: Eyewear shop amiのインタビュー

ビジネスのご紹介

- 貴社ビジネスについて教えてください

外の人(オーナー):Eyewear shop amiは岐阜県関市に店舗を構えるメガネのセレクトショップです。店のオーナーでメガネ一筋の私がまず伝えたいことは「メガネが似合わない人はいない」ということです。

メガネが似合わないと感じているお客様は、今かけているメガネを気に入っていないことがほとんど。そういう方にプロとして似合うメガネをご提案することで、気に入るメガネ・かけたいと思えるメガネを見つけていただきたいと思っています。また周りから「似合ってるね」と褒められると、だんだん似合ってくるものだったりします。

メガネは業界全体でみると、お客様の割合は男性が7割、女性が3割といったところです。特に女性はメイクをするので、メガネよりコンタクトを好まれる方が多いですが、女性にもファッションのひとつとして楽しんでほしいという思いがあり、当店では女性が4割近くになってきています。

私自身メガネが嫌いになった経験があり、あるメガネとの出会いがきっかけでメガネを好きになりました。amiはみんなにメガネを好きになってほしいという思いでスタートしたお店です。

 

岐阜県関市のメガネ店 Eyewear shop ami
- 貴社全体のマーケティングの取り組みはどのようなものですか

外の人(オーナー):小さな店舗、そして販売しているアイテムがメガネ・サングラスということもありお客様には当店までご来店いただく必要があります。

情報発信の軸になっているのはお店の公式ウェブサイトですが、関市では地方情報紙などの影響力がまだまだ根強い傾向にあるので、そういった紙媒体の広告は定期的に利用しています。

オフラインでの取り組みもいくつかあります。お店で取り扱いのあるブランドの商品でも、店頭においていないモデルはたくさんありますので、それを一度にご覧いただける「メガネのトランクショー」というイベントを定期的に開催しています。また関市に興味を持ってもらったり、来ていただくきっかけとなるよう、地元企業との異業種コラボなどは積極的に行っています。

※ amiが開催するイベントの会場内でのみ限定販売しています。

Eyewear shop amiのTwitter活用

- Twitterの立ち位置、Twitterを利用する理由は何ですか

外の人(オーナー):Twitterは実は公式アカウントと明言しておりません。スタッフがお店で働き始める前から使っていた個人アカウントを現在はオーナー公認のスタッフアカウントという位置付けで使用しています。

なぜかというと、正直申し上げて私がTwitterをあまり好きではないからです。Twitterがいいか悪いかではなく、個人的に好きではない、シンプルに苦手なのです。おそらくそれは5年後も10年後もかわらないでしょう。ここまできたら逆に好きになってはダメだとすら思っています。

そんな私が公認にしている理由はひとえに、Twitterで売り上げが上がったり、実利が出ているからです。スタッフが使っていなかったら確実に今でも利用していないですし、そんな環境で運用をがんばっているスタッフは大変だと思います。

でも、苦手だからこそ、好きでないからこその役割もあると思っています。アンチTwitterのオーナーと、Twitterを仕事で使いたいスタッフとのプロレスがこのアカウントの始まりなので、今更やめるわけにはいかないのです。

- オーナーさんを外の人と位置付けている理由は

中の人(スタッフ):Twitter運用をしている人は一般的に「中の人」と呼ばれていますが、それに対して管理監督している人、つまり当店オーナーを「外の人」と呼び活動していただいてます。

ツイートはせずアカウントも持っていませんが、中の人=スタッフの管理監督、そしてTwitter運用に興味を持った経営者の方が当店に来られた際は、オーナーが「外の人」という立場、視点でアドバイスを行っています。

Twitterの「中の人」はよく注目されますが、Twitterを上手に利用している経営者・上司といった「外の人」ももっとフィーチャーされたなら、更にTwitterを利用する企業・店舗アカウントが増えるのではないかと思っています。

- 中の人について教えてください。スタッフアカウントをはじめようと思った理由は何ですか

中の人(スタッフ):私はもともとこのお店の客でした。Twitterアカウントは個人で使っていたものを、amiに就職してからは店名をふせて関市のメガネ屋スタッフアカウントとして使っていました。自分が客だったころに「お店に入りにくい」「立地的に分かりにくい」と感じたことから、とにかく良い意味で、敷居を下げたい、もっとメガネに興味ある方が入店しやすくしたい、個人店でも面白いメガネのセレクトショップがあるというのを知ってほしいと思ったのがきっかけです。

 
- 公認アカウントになったきっかけやエピソードはありますか

中の人(スタッフ):先ほどのお話のとおり、オーナーはTwitterに好意的ではありません。私がTwitterを利用してお店や商品のことをツイートすることに関しても、何度もケンカになりました。

それでもある時「Twitterだけの企画を打って結果を出してみせなさい。」とチャンスをくださり、フォロワーさま限定のキャンペーンを実施したところ、売り上げ目標を軽々達成することができました。

それまでは私を昔から個人的にフォローしてくれている方が来店されるケースがほとんどでしたが、このキャンペーンをきっかけにアカウントを知ってご来店、メガネを購入される方が増えました。しっかり計画的にやれば結果が出せるということが証明できたため、晴れて公認アカウントとしての運用を許可していただきました。

 

Twitterが苦手な上司の元でのTwitter運用はとても慎重になります。話し合いも沢山します。お陰で常に、客観的に冷静に、調子にのらない、勘違いしない、を意識して運用することができているように思います。Twitterが苦手な上司の元で運用しているからこその、ひとつの成功例かもしれません。

 

 

Twitterに対する価値観が違うオーナーとスタッフの私の間で、客観的に判断できる評価・基準は、ツイートのインプレッション数でもフォロワー数でもなく、売上。それが全てです。

- キャンペーンで結果が出せるか不安はなかったですか?参考にしたアカウントなどあれば教えてください

中の人(スタッフ):公認になる前から、丸越アピタ名古屋南店さんには実際に定期的に会ってお話を伺ったり、困ったときには相談に乗ってもらいアドバイスを頂いていました。私のTwitter運用における先生であり戦友でもあります。丸越さんのアカウントをずっと見ていて、集客できる可能性は感じていたので、キャンペーンの際も不安以上に希望を持てていました。

あとは静岡県浜松市のままごとキッチンtontonさんです。らくがきで書いたネコのキャラクター『#ヤマダネコ』の人気と認知度がどんどん上がり、多くの企業やお店とコラボアイテムを生み出しました。最近では浜松警察署の広報アンバサダーにヤマダネコが就任しました。その手腕や戦略は素晴らしく尊敬しています。

東海地方の特殊性かもしれないのですが、横のつながりが非常に強くフォロワーさんを1人で囲い込まず、皆で共有して地域を盛り上げ、楽しんでいこうというスタンスがうまく回っていると感じます。ここまで成長してこれたのは、応援してくださってるフォロワーさん、そして同じイズムを持ってTwitter運用している中小企業・個人店・小売店アカウントさん達の協力とフォローがあっての事と感じています。

 

- Twitterを見て県外からも来店されるお客様がいらっしゃると聞きました

中の人(スタッフ):はい。Twitterの集客力なら、県をまたいでお客様がいらっしゃることはそう難しいことではないと自身の経験として感じています。当店の場合は名古屋などの近隣はもちろん、山口、福島、香川、千葉などからもお客様が来てくださってます。

お店の業務としてやる以上、集客や売り上げに貢献できなければ、運用停止は当然の判断だと認識しています。Twitterに対する価値観が違うオーナーとスタッフの私の間で、客観的に判断できる評価・基準は、ツイートのインプレッション数でもフォロワー数でもなく、売上。それが全てです。

 

- 日頃のツイートで工夫されていることはありますか

中の人(スタッフ):メガネ屋のアカウントは他にもたくさんあります。そしてメガネ紹介はどこもしているツイートです。それらのツイートに埋もれてしまわないよう、フォロワーさんにEyewear shop amiのツイートだとすぐ気付いてもらえるよう「あなたに似合うメガネあります。」という当店キャッチコピーをメガネ紹介に入れたり、岐阜県にあるメガネ屋なので岐阜県産メガネのPRも定期的に行っています。

当店は基本的にオンライン販売は行っていないので、お店まで来ていただくことが必須、つまり関市にきてもらう必要があります。そのため、関市のPRも積極的にするようにしています。

 

岐阜県産メガネブランド"ENALLOID"

#amiの社会見学 地元の企業を知ってもらう取り組み

 

商品や業務に関係ないことはツイートしないほうがよいというスタンスのアカウントもありますが、私はメガネが嫌いな方やメガネに興味のない方にもメガネの魅力を知ってもらいたい、今後メガネが必要になった時に当店を思いだしてほしいという思いから、あえてメガネと関係ないツイートもしています。ゆるいツイートは砕けた口調、本業に関することやフォロワーさんからの質問等に関しては丁寧な口調で返すといった風にメリハリをつけるようにしています。

朝お店をオープンしたら必ず挨拶ツイートをするなど、毎日のルーティンはだいたい決まっています。(オーナーに対して仕事しているアピールのためにもルーチン化したともいえます。)また「お店に来たい」と思ってもらうために、発信する情報量や質には気を付けています。見ている方の後ろ髪を引くような情報・内容を心がけています。

当店で取り扱っているメガネの主な訴求層である社会人に向けて、お昼の12時頃に #amiの推し事 というハッシュタグを付けて週に3〜5回の頻度で商品の紹介をしています。これを始めてから、いいねが増えたり、「こんなメガネがあるんですね」「欲しい!」といったコメントをいただくことが増え、メガネと当店を知ってもらうきっかけになっていると感じています。

- ビジネスの発信にTwitterを使っていてよかったと実感したことや、始めてからの新たな発見などありましたらお聞かせください

中の人(スタッフ):Twitterをやっていたことでネットニュースに取り上げていただく機会が増えました。災害時の非常用持ち出し袋にメガネを入れておいてください、という内容のツイートは複数のメディアにも掲載されました。

また他の企業さんとのつながりができたことも大きいです。「メガネの修理に接着剤は使えますか?」という問い合わせがセメダインさんにあったようで、メガネ屋からすると避けていただきたいという話から両社で「メガネ修理に接着剤はNG」という啓蒙ツイートを行ったり、今では一緒にキャンペーンもやらせていただいています。

 

メディア掲載の例はこちら

- 他の企業に1つだけTwitter運用に関するアドバイスができるとしたら

中の人(スタッフ):「バズることを過度に求めない」でしょうか。バズることを目的としたために過激な行動、強い言葉のチョイスで炎上するパターンを何度も見てきました。過去にそういった炎上ツイートで、関連メーカーや業界全体に少々ネガティブな影響が出たこともありました。

140文字で伝えられる情報は限られているため、同業他社やメーカーに迷惑をかけたり、フォロワーさんをはじめ消費者に対し、不用意に不安や誤解を与える内容になっていないかは十分に注意する必要があります。またバズることが必ずしもビジネスの成果につながるわけではないと経験しています。地道にコツコツが一番です。

- ありがとうございました

 

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